Twitterの陰謀論系アカウントがこんなことを書いているのを見つけました。
前FBI上層部のテッドガンダーソン。2011年に殺害された。ケムトレ(米国軍開発)を初めて暴露した人。(以下、略)
え、死んでるの?しかも殺された?と驚きました。
そこでこのテッド・ガンダーソンの死因について調べてみました。
陰謀論の重要人物テッド・ガンダーソン
まずテッド・ガンダーソンについて簡単に説明すると、彼は小児性愛組織について調査して真実だと確信、それを告発した重要証言者です。以下は当ブログの関連記事リンク。
またケムトレイルの告発者でもあったというのは、私は今回初めて知りました。
元FBIテッド・ガンダーソンの死因は?
その彼が殺されたというのです。
さあ、本当なのかどうか(可能な範囲で)調べてみましょう。
ヒ素による毒殺説
まず殺害されたという説については、YouTubeの代替的プラットフォームである「BITCHUTE」で、テッドがケムトレイルについて語っている動画の説明欄にこんな記載が見つかります。
**この動画を公開した半年後、テッド・ガンダーソンさんは「ヒ素による毒殺」が疑われる不審な死を遂げました。
引用:元FBI特別捜査官テッド・ガンダーソン★『死の散布【DEATH DUMPS】ケムトレイル』を阻止しなければならない。2011年1月
これだけの記載でソースも明らかにしていませんが、動画説明欄ではくだくだしく説明する慣習はないので、まぁこれについては許容範囲かと思います。
なおかつ「不審な死」としているだけで、「殺害された」と断定しているわけではありません。
公式の死因は膀胱がん
次に、テッド・ガンダーソンの英語版wikiを機械翻訳にかけたものを引用しましょう。
2011 年 7 月 31 日、ガンダーソンの息子は、父親が膀胱がんで亡くなったと報告しました。[33](引用:Wikipedia)
まず死因について息子は「膀胱がん」だと報告した、との記載です。
つまり公式の死因は「膀胱がん」だということです。(だからといってこの時点では私は殺害説を完全に否認するわけありません。その点は誤解なきようお願いします)
死亡年齢
さらにwiki下部にある脚注[33]のリンクでアーカイブページを見にいくと、死亡記事が次のように掲載されていました。(以下は機械翻訳の引用。ソースは保守系FOXニュースの模様)
メンフィスの元FBI長官が死去
投稿日:
2011 年 8 月 20 日 午前 5 時 46 分 カット長いキャリアの中でメンフィスの局長を務めた元FBI特別捜査官のテッド・ガンダーソンの息子は、彼の父親が82歳で亡くなった.
グレッグ・ガンダーソンはAP通信に、彼の父親がメンフィスの自宅で7月31日に癌で死亡したと語った。ガンダーソンは、父親がマリリン・モンローの死やジョン・ケネディ大統領の暗殺などの注目を集める事件に携わったと語った.
テッド・ガンダーソンは、ダラス、モービル、ノックスビル、ニューヨーク、ロサンゼルス、アルバカーキのオフィスで働いていました。
彼は 1973 年から 1975 年までメンフィスの FBI オフィスの責任者でした。
引用:アーカイブページ
注目すべきは年齢、没年82歳です。
さあ、それでテッド・ガンダーソンが亡くなった2011年のアメリカの平均寿命を調べてみると、「78.64歳」だということです。(ソース:アメリカの平均寿命の推移 – 世界経済のネタ帳)
82歳で亡くなったテッド・ガンダーソン、平均寿命を上回っているのでご長寿さんといっていいでしょう。
ほっといても後数年で死ぬでしょうから、是が非でも殺さなければいけない必要性は感じられません。
もちろん、ほっといても死ぬ人間だからこそ、あえて報復の意図で見せしめ的に殺した可能性もあるでしょうが、
- (たぶん実の)息子による「膀胱がん」の死因報告
- 米国平均寿命を上回る82歳での死亡
この2つを考慮に入れると、「殺害説」の信ぴょう性はかなり薄くなった気がしないでしょうか。
ヒ素毒殺説の根拠となる状況証拠を私は知らないので、殺害説を完全に否定しはしません。
それでも、今回調べた範囲で出て来た情報ではどちらかといえば公式通りの「病死」の方が可能性として高そうだ、というのが私の結論です。
程度の低い陰謀論系アカウント
いったい彼は何を根拠にこんな断定的に述べているんでしょうか?
前FBI上層部のテッドガンダーソン。2011年に殺害された。
最初は腹が立つんですが、あまりの酷さに徐々に笑えてきます。
こういうヤツがいるから陰謀論支持者は全員低能だと思われるんです。
そして毎度毎度ソースを示さない。Twitterはリプライで紐づければ幾らでもソースを提示することができるにも関わらず、です。
こういう人はフォロワーを啓蒙したいんでしょうか、それとも自分の拡散する情報を無条件に信じる信者を得て教祖になりたいんでしょうか。
書きながら思いましたが、ガチで後者なのかもしれませんね。やってることを見ると。
こういうアカウントは参考程度に留めるならいいでしょう。(私は基本見ませんが)
しかし、こういうのをフォローして頭から信じてると、自分でも気づかない内に情報リテラシーがグングン低下していくので、皆さんは気を付けるようにしてください。
最後に:陰謀論の重要証言者「殺された説」は出回りがち
本題に戻ると、テッド・ガンダーソンがそうであったように、陰謀論の重要証言者は「殺された説」がよく出回ります。
そして確かにこういう人物が「殺された」というのは、特に陰謀論支持者にとっては「いかにも」な話なので、容易に信じられやすい傾向にあります。
たとえば小児性愛儀式に実際に参加、組織への加入直前までいったものの、儀式を見たショックで関連組織の仕事から足を洗ったロナルド・ベルナルドもそうです。
彼の死亡説は海外で出回り、私の記憶ではTOCANAが一度はそのことを書いたものの、後に誤報であることに気づいて記事を訂正しています。
きちんと記事内容を訂正するメディアはまだ良識がある方でしょう。
ちなみに、この記事を書いたついでにFacebookでロナルド・ベルナルドの生存確認を久しぶりに行いましたが、直近では2023年3月時点の投稿が確認できます。
いずれにしろ、陰謀論の重要証言者「殺された説」は出回りやすく、如何にもな感じがして信じてしまいがちなので、出回った時は頭から信じこまずに調べてみることをお勧めします。