新型コロナに関する予言をしているとしてシルビア・ブラウンの予言本「End of Days(この世の終わり)」が注目を浴びているようです。
しかしサイキック(超能力者)とされているシルビア・ブラウンですが、彼女はどの程度信じられるのでしょうか?
彼女が携わった透視事例を見ると、このシルビア・ブラウンのかなりいい加減なサイキックぶりが見えてきます。
ここではシルビア・ブラウンの経歴や携わって失敗した透視事例などをまとめたので興味のある方はご覧下さい。
【経歴】シルビア・ブラウンは米国の有名サイキック
【経歴】シルビア・ブラウン(1936~2013)
シルビア・ブラウン(Sylvia Browne)は1936年生まれ。
米国ミズーリ州のカンザスシティに生まれました。
シルビア・ブラウンは5歳の時からお告げが聞こえるようになったと自称していたそうです。
メディア露出も多く、米国の人気番組「モンテル・ウィリアムズ・ショー」に17年間もレギュラー出演。他にも数多くのテレビ番組やニュース番組に出演しています。
さらに著書は40冊にものぼり、そのうちの20冊以上が「ニューヨーク・タイムズ」紙のベストセラーリストに掲載されました。
また行方不明者の捜索や有名事件の捜査などでも何度かFBIや警察に協力したといいます。
シルビア・ブラウンの死
シルビア・ブラウンは2013年11月20日に亡くなりました。
自分の死について、2003年5月に有名司会者のラリー・キングに対し、88歳で死ぬと予言していたそうですが、実際には77歳の時に亡くなっています。
シルビア・ブラウンの透視失敗事例
シルビア・ブラウンの透視失敗事例についてたくさん見つかったのでそれをまとめます。
生きている娘を死んでいると透視:母親の死期を早めた?
2013年5月6日、米オハイオ州クリーブランドの住宅で、約10年前に誘拐された3人の女性が発見・保護され、事件に関与したとされる男が一人逮捕されました。
叫び声を聞いた隣人が発見現場の家に駆け込み、女性の1人がその人の携帯電話で警察に通報、女性たちは病院に運ばれますが健康体だったということです。
このうちの1人、アマンダ・ベリー(26)は10年前の2003年に姿を消しており、2004年に透視をおこなったシルビア・ブラウンは、アマンダの母に「アマンダは既に死んでいる」と告げたといいます。
アマンダの母は娘の無事が確認される5年以上前の2006年3月に失意のまま亡くなっており、友人たちはブラウンの透視が母親の死期を早めたのではないかと疑ったそうです。
生きている少年を死んだと透視
2002年に11歳のショーン・ホーンベックという少年が誘拐されます。
この4ヵ月後、シルビア・ブラウンはモンテル・ウィリアムズのテレビ番組で透視を行い、少年の両親に彼は死んだと告げ、死体は2つの尖った岩の近くで見つかるとかなり具体的な透視をしました。
それだけでなく、犯人の肌の色やおそらくヒスパニック系であること、黒髪のドレッドヘアで、名前はマイケルだと言いました。
ところが2007年になって少年は死体どころか生きている状態で無事に保護され、これが報道されます。
そして犯人のマイケル・ジョン・デブリンは白人、ヒスパニックではありませんでした。
かろうじて「マイケル」という名前だけ当たっていますが、この名前はアメリカの過去50年でもっとも多い名前です。
さらに物議をかもしたのが、ホーンベック少年の両親がブラウンに、30分、もしくは1時間程度で700ドルもの金を請求されたということです。
ブラウンのマネージャーはこの金銭の要求を否定しましたが、実際にはこのお金は受け取っていたといいます。
日本で奴隷にされたと告げるも死体がテキサスで発見される
また失敗している事例です。
1999年にモンテル・ウィリアムズの番組で、行方不明の少女の祖母に、「彼女は奴隷制度に巻き込まれ、奴隷として日本に連れていかれた」と透視します。
この時ブラウンは、少女が白人奴隷としての強制売春をさせられたと匂わせたそうです。
ところが実際には被害少女は4年後、日本ではなくテキサスで死体で発見され、しかも検視の結果、行方不明になった直後に殺されていました。
この事件の犯人は逮捕され、終身刑が申し渡されています。
成功事例とされるものも怪しい
著書でも紹介されているような成功事例もありますが、実際にはかなり怪しいようです。
これらはおそらく『シルビア・ブラウン―サイキックとして 半生とその足跡』で紹介されているのと同じ事例です。
スキーマスクのレイプ犯
ブラウンの著書によると、このレイプ事件でブラウンは、「容疑者の姓はSで始まり、市のために働いている。道に関連した仕事で道の下の仕事」と透視します。
捕まった犯人の男は26人をレイプしており、市の下水道の修理工として働いていました。
ところが、警察はブラウンが捜査に関わったことは認めていたものの、事件が起こったのがだいぶ前(1980年代)なので、どの程度ブラウンが深く関わったか分からないとのことです。
要は犯人が分かった過去の事件について「後だしジャンケン」をしている可能性も濃厚だということです。
推測するにサイキックによって大きく捜査が進展したなら、その時の捜査官に与えた衝撃も甚大でしょうから、ブラウンの活躍で事件解決に結びついたならちゃんと覚えているんじゃないでしょうか。
遺体発見の成功事例
2001年に警察が公園である女性を捜索している時、ブラウンは女性はその公園で死体が見つかるとして、実際にその公園で見つかります。
しかしこれは既に警察が目をつけていた公園でしょうから、ゼロから当てたというわけではないようです。
国際貿易センター爆破テロ
1993年2月26日に起こったアルカイダが関与したとされる国際貿易センター爆破テロで、FBIにインタビューされたブラウンは「背丈は低いがたくましい、黒髪で眉が太い、名前にMが含まれる」として、最終的に名前を「Salzemon」と言いました。
ブラウンはテロリストとして逮捕された「Mohammed Salama」のことを指していたのだとしていますが、そのSalamaはFBIのインタビューの12日も前に逮捕されていたそうです。
有利な条件の100万ドルチャレンジに挑戦せず
かなり前にブラウンは、一定の条件下での透視チャレンジに挑戦することを約束していたそうですが、この約束は果たされなかったようです。
ある番組で、シルビア・ブラウンのビジネス・マネージャーのリンダ・ロッシが現れて、ブラウンの超能力に懐疑的な人と長い議論を戦わしました。
この時、マネージャーのリンダ・ロッシは、被験者が全員超能力を信じているというかなりフェアな条件での透視チャレンジを持ち掛けられますが、絶対に受けようとしませんでした。
シルビア・ブラウンのマネージャーのロッシは、挑戦を持ちかけたジェイムズ・ランディと怒鳴り合いを演じ、頑として応じなかったそうです。
最後に
調べてみるとかなりいい加減なのに、なぜ有名テレビ番組に出続けていたんだろうと思いますが、メディアでの露出は実際の超能力よりも自己演出能力などの方が重要だということなのでしょう。
ある意味ではブラウンは、いわゆる「テレビを分かっている」人だったということでしょうか。
また私も人のことはいえませんが、結局いい加減な人が信じ続けられるのは、そうした不思議な能力を「信じたい」という人々の人情があって、それが結果的に勝ってしまうのだろうと思います。
それにしても生きている娘について「死んでいる」と言われるなんてたまったもんじゃないですね。母親は生前どれほど苦しい思いをしたことでしょうか。
この記事は以上になります。